この記事では、米国の音大留学を経験しているアデュールの英会話講師が、これから音大留学を目指している方向けに、米国の音大留学と、音大での英会話(英語)の様々なアドバイスをご紹介します。
イギリスやヨーロッパへの音大留学を目指されている方は、別記事「音大留学に必要な英会話(英語)とアドバイス(英国)」も是非ご参考になさって下さい。
また、別の講師によるアメリカでの音楽留学アドバイス記事「音楽留学の参考情報と英会話(英語)のアドバイス(米国/カリフォルニア大学)」も是非ご参考になさって下さい。
目次
1. 私の経歴
皆様、こんにちは。
この記事の最初に、まずは私の経歴をご紹介します。
私はアメリカ東海岸に位置するマサチューセッツ州ボストンで、ニューイングランド音楽院(New England Conservatory of Music)(以下NEC)とボストン大学(Boston University)のMusic Department(以下BU)に合わせて5年間留学していました。
■NECでの取得学位:
Master of Music in Piano Performance(ピアノ科大学院修士)
■BUでの取得学位:
Artist Diploma in Collaborative Piano(アーティストディプロマ)
2. 入学までの流れ
ここでは入学申込から結果発表までの流れをご紹介します。NEC、BUどちらも同じような流れでした。
2-1. 申込方法(online)
入学申込は、オンラインから行いました。希望校のweb siteにアクセスし、まずはaccountを作成し、そこから記入していきます。accountを作らずにapplication formに一度に全部記入しようとすると、途中まで記入して、後日途中から記入を再開という事ができないので、まずはaccountを作成します。
私の場合は、当時日本でレッスンを担当してくださっていた先生が、同じ大学の卒業生ということもあって、いろいろと面倒をみてくださったので、英語のスペルチェックはもちろん、「この項目はこういう意味なので、こういう風に書いて」と細かな指示があり、それにのっとって記入していきました。地方の公立高校出身だった私の友人の場合は、学校の英語の先生に付きっ切りでお願いをしたそうです。
ぜひ大切な部分なので一つのミスもないように、英語に不安が残る方は私や友人のように、第三者に入ってもらい、確認してもらうと良いでしょう。留学エージェントなどもありますが、その場合は、使ったことがある人などを探して評判を聞いてから頼んでくださいね。
2-2. 必要な提出書類
入学申込時に必要な提出物としては、現在通学している学校の在籍証明、成績証明書、TOEFLスコア、Recommendation letter(推薦状)、Essay、(自分の演奏している所を撮影した)CD/DVDです。これらの提出物について、以下ポイントをご説明します。
■Recommendation letter(推薦状)
recommendation letterは、複数用意しなければいけません。もちろん英語です。現在の自分の担当教授はもちろん、自分の専攻科の主任教授や、音楽理論、ピアノの生徒なら、伴奏等をしてる楽器の教授など、バランスを考えて人選し、それらをすべて英語に直すことが必要になります。長さはそこまで重要でなく、あなたが音楽家として具体的に、どう素晴らしいのか、人間的にどうなのか、など書いてもらえると良いと思います。
■Essay
Essayではテーマが何かにもよりますが、必ず、まず自分がどう思うか、という意見をハッキリと言い、その後にどうしてか、という説明を加えていくと全部読んでもらえる可能性が高まります。まずは最初にしっかりと主張しましょう。留学エージェントを使われる場合は、きちんとカウンセリングしてくれて、納得いくまで書き換えもしてくれる留学エージェントを探すといいと思います。
■(自分の演奏している所を撮影した)CD/DVD
入学申込で何よりも大切なのが、(自分の演奏している所を撮影した)CD/DVDを作成して、学校から指定された課に郵送する、いわゆる’screening test’です。最近はCDは簡単に編集できてしまうので、DVD onlyとしているところも多いので、注意しましょう。
お金をかけてとても素敵なDVDを作ってくる人たちもいれば、留学生に多い、 割とシンプルにシャツとパンツ姿で演奏しているものを送る人もいて、本当に様々ですが、 先生方は残念ながら最初の5分聞いてくれればいいほうです。そして気にいれば、その曲の聴きたいところまで飛ばしてその部分をチェックされます。もし最初の5分が通らなければ、頑張って作った自分の演奏を最後まで聞いてもらえることはほぼありませんし、当然ですが、この後の試験(live audition)に進むことができません。
2-3. 試験
試験はLive auditionです。自分の好きな曲を選んでauditionをスタートできます。
auditionの時の先生たちは、みなさんとってもfriendlyで、‘Hi, welcome to NEC/BU. What would you like to start with?’と聞いてくれます。そこで1番自信のある曲からスタートしていいのです。もし、付きたい教授がはっきりしている時は、’Professor ○○, any request?’ ‘What piece do you want to hear next?’などと先生同士でやり取りがあって次に弾く曲が決まります。
auditionが終わったら、自分の希望している先生が’ I have time around 〇pm, can you come and see me then?’などと声をかけてくださったり、その場にいらした先生方から’ Sounds great. Thanks for coming!’と、声をかけられたりして、アメリカのauditionは思ってる以上に雰囲気は明るく、そんなに厳格に感じないのです。もちろん緊張はするんですけどね。
2-4. 結果発表
通常は合格通知の手紙が送られてくるはずですが、私の場合はイレギュラーで、いつまで待っても結果が来なかったので、もうダメかなと思っていたら、当時の私の学校の先生がしびれを切らして直接電話をして確認したら合格していて、その後手紙(合格通知)が送られてきました。
3. 入学手続き番外編
ここでは、私が見聞きした入学手続きに関するちょっとしたTIPSを番外編としてご紹介します。
3-1. 大学への問合せ
私が学生だった時に、学校のauditionの郵便物が届くadministrative officeでバイトをしていた友人がいました。彼女は声楽の生徒さんだったので、電話対応もしていたのですが、 よくアジア人から切羽詰まった声で電話がかかってきて、「私の郵便物がちゃんと届いたか確認してほしい。メールも何も返事がこない」と電話口で泣かれて困ると言っていました。
また、「こんなことを言うのは本当に悪いと思うんだけど、ほとんどのアジア人の受験生は英語があまりしゃべれないか、喋れても、こちら側が言ってることが分からないことが多くて困ってるの。私は、”今現在受験に必要なものを全て集めている時期なので、こちらから連絡があるまで待っててください”って何回も言わなければいけなくて大変。」と溜息をつきながら言っていたことを思い出します。
不安になるかもしれませんが、期日はしっかりと守り、アメリカはクリスマスシーズンが長いお休みになってしまうので、それを考慮して準備をするといいと思います。何度もメールや電話で尋ねても、ほとんど無視されてしまうでしょう。これ以上待てない、となった時にメールすることが1番返信してもらえる可能性が高くなると思います。メール文の作成は Chat GPTや Google translateなどで、ある程度きちんとしたメールを作成することができるので、有効に活用しましょう。
3-2. Audition会場への移動
友人のお話になりますが、彼女はNECのaudition当日、ホテル代を浮かせるために、朝ボルティモアからボストンへ行くことにしました。
ボストンが雪が降るのはわかってはいたけど、予報ではそこまででもなかったし、飛行機も無事飛ぶ予報だったので大丈夫だろうと思っていたら、まさかのボルティモアが雪で遅延。何とか到着した時点で、すでに彼女のaudition timeまでもう30分ほどだったので、すぐに大学に電話をして、「雪で飛行機が遅延して、今空港に着きました。私のaudition時間まであと30分しかないので、遅刻してしまいますが、今から行っても受けられますか?」と聞いたら、「とにかく気を付けて来てね、遅れることは伝えておくわ~」 と優しい返事。
そのまま、頑張ってNECまで電車を乗り継いできて無事到着。受験生を案内してくれる係(その科の生徒が担当してることが多い)に、「もう順番がすぎてしまっているのですが、今着きました」と言ったら、ちょっとした隙間を見つけてくれて、無事に演奏できて、なんと合格できてホッとした~というお話があります。
特にボストンや首都のワシントンから上に位置する東海岸側は雪国で、冬は定期的に snow storm、大雪になる日があります。そして、アメリカの音大の一般的なaudition seasonは1月~3月上旬なので、雪国エリアのauditionは自分の受験日がsnow stormなどとぶつかってしまうことも少なくありません。ですから、自分が行きたい学校のエリア によっては、live auditionする場合は、日本から数日前に到着して、その場所や環境に慣れておくことも大切です。
4. 大学の授業
4-1. 全般
NECは日本でいうところの私立の音楽大学ですので、音楽専門の科のみ存在しています。面白いなと思ったのは、日本の音大ではあまりないですが、jazz科があるところ。日本ではjazzはあまり音大に通って学位を取得するものではないイメージですが、アメリカでは有名な私立の音楽学校にはjazz科があるのです。
それに対してBUはなかなかの規模の私立の総合大学。日本でいうところの日本大学のような感じで(日大にも芸術学科があります)、そこには、それこそ数千人規模の学生が全米はもちろん、世界中から集まって勉強しています。総合大学だけあって面白いのは、オファーしてるクラスの中には、社交ダンスやクッキング、ヨガ,禅などほんの一例にしかなりませんが、これを授業として取って、単位になるの?と思うような楽しいクラスもあり、undergraduateの生徒達がうらやましかったのを覚えています。
4-2. 歌のクラス
NECのマスターで勉強していた時、とにかく選んだコースは勉強よりは演奏できるクラスを選びました。いくつか記憶に残っているクラスの1つに、歌のクラスがあります。そこは見事にアジア人の留学生だけがいるクラスで、先生は優しくて有名。17~18人のクラスだったと思いますが、試験では、全員の前で伴奏なしで課題曲を歌わなければいけませんでした。
ただ、先生は本当にやさしい方だったので、私が歌詞を途中で忘れてしまったら(それは多分ドイツ歌曲だったと思います)、先生が一緒に歌い始めてくれたので、途中ラララ~とごまかしながら、先生について最後まで歌って合格できました。
4-3. オルガンのクラス
次に反対にとても厳しくて、大変だったけれど充実したクラスに、オルガンのクラスがあります。先生は日本人の方でしたが、長くアメリカで活躍しているオルガン奏者として有名な方。クラスも少人数で5-6人だけでしたが、パイプオルガンを弾けるし、エレクトーンを弾いていた私にとってはそこまで難しくなく、結構楽しく練習していました。
授業は1つの曲についてディスカッションをします。形式や背景はもちろん、自分がこの曲をどうとらえているのか、どうやって演奏を通して表現するのか、などについて意見交換をしつつ、それぞれ練習室に入ります。90分間の授業の中で、20分ごとに時間を割り振られて、自分の順番がきたら、先生が待っていらっしゃる荘厳な美しいパイプオルガンがあるお部屋へ。そこで演奏をし、先生からダメ出しがあり、また次回までに練習しておく、という流れでした。オルガンは完全に私にとっての副科。でも、先生にとってはそんなことは関係ありません。できなければ厳しい指導がもちろんあります。演奏会などで先生はとても忙しい方だったので、アシスタントの方にレッスンをしてもらうこともありました。
1学期を通して1曲~2曲を習い、最後はクラスと先生の前で演奏をして終わりました。大変だったけれど、反応もよかったし、感想もよかったので何も考えずに安心していたら、GPA( grade point average)が下がっていたので焦ってスコアをチェックしたら、オルガンがB+だったのです。がっくりきていたら、オルガン科の生徒に、「教授は普段B以上を生徒にはつけない。だから副科でも+がもらえてるなんて羨ましい。私は教授と勉強して3年になるけど、Bより上をもらえたことがないよ。」と教えられて、最終的には納得しました。
4-4. フランス歌曲のクラス
ひとつ後悔をしているのは、フランス歌曲のクラスです。自分のwritingに自信がなかったため、フランス歌曲のクラスを取ったときに、声楽科の生徒とペアになって歌曲を演奏する部分は問題なくできたのですが、学期末のテストの時に、フランス語の歌詞を英訳しないといけない部分で、英文の意味が通じないと言われ点数が低くなってしまった部分がありました。
やはり楽器だけが弾けて、なんとなく意思疎通ができてもダメなんだな、と痛感しました。(後日、もう一度ちゃんとした英文に添削してもらったものを提出して、ポイントがもらえました!)
5. 大学で必要な英語力
5-1. 入学時の私の英語力
私は中学生、高校生の頃は英語が好きで、得意ではあったものの、会話となると話は全く別で、アメリカに渡って間もない頃のNEC入学時の私は、IELTS6.0のundergraduateの友人よりも、もっともっと英会話レベルは下で、英語のセンテンスが2個以上つながると、単語一つ一つは聞き取れていても、それが何を意味するのかほぼ分からない状態でした。その為、入学後は、intensive English classの1番下に入り、1学期間そこで英語の勉強をして、学期末にテストを受け無事にパスしたので、2学期目から、通常の授業やアンサンブルのコースを受けられるようになりました。
5-2. あまり英語ができなくてもやり過ごせる環境
最初のNECは、当時は日本人の留学生もそれなりにいて、先輩の日本人が、1年間分からないことがあったら相談に乗ってくれたり、携帯電話の契約、事務的な手紙やメールが来たときに一緒に読んでくれたりなど、手厚いサポートがありましたので、メインのピアノのレッスン、授業以外で英語を使うこともそれほどないまま過ごしてしまいました。
レッスンでは音楽用語は全世界共通なので、英語の部分が全くわからなかったとしても、 音楽用語が聞き取れれば、レッスンはスムーズでした。私の教授は留学生に慣れている先生だったので、ゆっくりしゃべってくれたり、時には書いてくれたりして、音楽に関しては言ってることが理解できなくても、先生のお手本の演奏を聴いたりすれば、すぐにわかったり、問題なかったように思います。 また、留学生同士、特にアジア圏からの留学生同士は、お互いにつたない英語をなんとか駆使してコミュニケーションをとれていました。
5-3. 英語は出来た方が良い
上記の通り、英語が出来なくてもなんとかやり過ごせる環境もありましたが、残念ながら、アメリカ人やそれ以外の英語がnativeの国の人とは、本当に簡単な挨拶ぐらいしかできなかったので、アンサンブルの授業ではどうしてもはじかれてしまって、悔しい思いもしました。でも自業自得なのです。 行ったら何とかなる、の精神でいたので、そこまで英語を真剣に勉強せずに行ってしまったのは自分なのですから。
ボストンやニューヨーク、カリフォルニア、テキサスなど主要な音楽学校があるところには留学生も多く集まるので、nativeの学生たちも慣れたものですから、英語に不慣れでどうしてもコミュニケーションがうまく取れないんだよね、というスタンスで、付かず離れずの距離を保つ人もいれば、積極的に関わってくれる優しい人もいます。ただ、残念ながら、英語をあまり話せない留学生とは積極的に関わらない、という学生もいます。 でも、アメリカでは黙っていることに美徳を感じる人はいません。彼らは小さいころから自分の意見をきちんと言う環境で過ごしています。なので、黙ってるということは意見がない、と思われてしまうのは仕方ないこと。そこに、語学の壁なんていう理由は存在しません。単語を並べるだけでもいいから、言葉を発することは大切なんです。
もっと残念なのは、自分の意見が全く無いとき。音楽を一緒に作るリハーサルの時に、「こういう演奏がしたい!」という意見のない人とは一緒に演奏したくないな、と思われることにもなりかねません。ですから、留学をしたいと思うのであれば、行きたい国の言語はもちろんのこと、あまり主張をしない日本人の場合は、少しずつでもよいので、自分がどうしたいのかを言えるように練習をしておく事も大切です。
6. 試験
アメリカの音大はsemester制が多いので、試験は学校にもよりますが前期に1回、後期に 1回あります。だいたい10分〜15分で、ピアノ科の場合はタイプの違う曲を2曲用意することが多いです。その2曲をちょっとずつ演奏することもあれば、先生方のその日の気分や主任をやられてる先生の性格にも大きく左右されます。
そして、live auditionの時もそうだったのですが、普段の試験も最初に演奏する曲を自分で選ぶことができます。主任の先生に’’So what would you like to start? ‘と聞かれ、’Well, I will start on Mozart.’など作曲家の名前を言ってスタート。私は2曲準備したけど、好きなほうの曲を演奏しはじめたら、そのままそれをずっと弾き続けて15分が終わったこともあります。主任がきっちりしてる場合や、その日の試験を受ける生徒が沢山いるときなどは、ストップウォッチで時間を計って、時間がきたら次の曲、15分経ったから、曲が盛り上がっていようが、途中でピタッと終わって、’ Okay, sounds good! See you next semester!’と言われて終わりということも。
普段は、ぼさぼさの髪で、よれよれのTシャツにジーパン、みたいな学生たちも、試験の日は上下黒のこぎれいな恰好をして試験に臨むので、そういう落差も楽しかったりします。
7. リサイタル
日本の音大と大きく違う点がリサイタルです。日本の音大の4年生卒業時、senior yearにリサイタルが必須になっている音大はどれくらいあるのでしょうか? NEC,BUともに大学3年生のjunior yearの時点でまずhalf recitalという30-45分のリサイタルが必ず必要になり、リサイタルを行っていいかどうか、2週間ぐらい前に先生方の前で試験があります。そこでは20分ほどランダムにリサイタルの曲や楽章を弾くように言われ、ほとんどの人がパスしますが、ごくまれにパスせずに、リサイタルの日にちを変更するように言われることもあります。
BUはもちろん、NECは特に、すでに有名だったりコンクールで優勝した人が入学してくることも多々あるので、3年生まで待たずに、1年生の時から積極的にリサイタルをやる生徒もいて、学期末になるとあちこちでリサイタルが発生していて、リサイタルをしない人も掛け持ちで友人の演奏を聴きに行ったり大忙しなのです。 senior year,1st year of masters and 2nd year of mastersは、1時間のfull recitalが単位を取るために必要になり、piano majorはだいたい夏休みの時点で曲を考えて、いくつかプログラムを作り、先生に突然その曲だめだから曲変えて、なんてリサイタル間際に無理難題言われたりもして、とにかくひたすら練習をしながらリサイタル当日を迎えます。学生たちは平均して毎日5~6時間は練習をするのではないでしょうか。すごい人は8時間とか!
そしてお楽しみはreception! リサイタルの後に、生徒はreceptionといって軽いスナックや、ジュース、お菓子など自分で用意して、お客さんをおもてなしします。アメリカ人の場合はアメリカ全土、どこからでも親戚一同が車で10時間、15時間運転したり、飛行機ではるばるボストンまできて、receptionも豪華で華やかな飾りつけになります。 彼らにとっては親戚のreunionの意味合いも兼ねているので、にぎやかになります。留学生やアジア人の生徒は、各国独自のメインのおかずやご飯ものなどを用意するので、友人同士で作りあったり、現地にある日本食レストランや、韓国レストラン、中華料理などからreception foodをdeliveryしたりして大人気なんです。私は dormに入っていた1年目、韓国人の生徒とシェアをしていましたが、彼女は大金持ちの大企業の経営者のお嬢さんだったので、彼女のリサイタルのreceptionが、とっても豪華でびっくりしたのを覚えています。
8. 音大での英語表現
8-1. Beethoven Recital Marathon
初めてNECの掲示板で’Beethoven Recital Marathon‘という文字を見た時は、全く意味がわからず、???ベートーヴェンでリサイタルマラソンって???と思い、行ってみたら、 参加者を募ってベートーヴェンの作品に限るという条件付きで、次から次へと生徒が出てきて、ベートーヴェンの作品をひたすら演奏する、というイベントでした。
しかもそれはなんと24時間だったので、夜の7時から始まり、次の日の夜7時まで、ピアノあり、歌あり、ヴァイオリン、チェロ、アンサンブル、なんでもありで、本当にずっとずっとベートーヴェンの曲の演奏が続いていました。私は真夜中ぐらいで挫折しましたが、次の日に授業で一緒になった韓国人の男の子は練習を真夜中までやって、その後その演奏会を聞きに行ったら、本当にずっとやってたよと言っていて、アメリカ人おそるべし、鬼の体力。と思った印象があります。 逆にアメリカ人からすると、アジア人の学生はずっと練習室にいて練習している、疲れないの?頭おかしくならない?と聞かれることもあるので、体力のある方向性が違うのかもしれません。
Boston Symphony のメインホールとして有名なSymphony Hallです。内装は本当に豪華で独特の響きがあります。BSOのメンバーが教えていることが多いNEC、BUの学生たちは必然的にこのホールで美しく、かつクリアに響く奏法を学ぶことも多い。以前、小澤征爾さんが常任指揮者として長きにわたり世界中で演奏してきました。現在はラトヴィア人のAndrisNelsonが常任指揮者として、ボストニアンに愛されています。
8-2. 音楽の授業やレッスン、リハーサルなどでよく使う英語
quarter note (4分音符)
eighth note (8分音符)
half note (2分音符)
whole note (全音符)
16th notes (16分音符)
treble clef (ト音記号)
bass clef (ヘ音記号)
on the beat (拍にはまってる)
You are right on the beat. (ピッタリ合ってる)
off the beat (ずれてる)You are off the beat. (拍からずれてるよ)
sight singing (初見で歌う)
sight reading (初見)
ensemble class (アンサンブルの授業)
chamber music (室内楽)
major (自分の専攻、私だったら Piano major, それとは別に長調の意味もある E major, F major, B majorなどなど)
minor (副科、それから短調の意味も)
studio class (門下ごとの演奏会や勉強会)
duo class (ピアノと歌、ピアノと弦楽器、ピアノ連弾など、2人のアンサンブルのクラス)
promotional & jury (学校によって試験のことをこう呼ぶ)
pick up (アウフタクトのこと)
time signature 4/4 (4分の4拍子)フォーフォーのように下の数字から先に読む
time signature 8/6 (8分の6拍子)エイトシックス
first ending (1カッコ)
second ending (2カッコ)
2measures (2小節)
measure12 (12小節目)語順が入れ替わるとニュアンスが変わる。
~measures from the end (最後から~小節)
gig (演奏の仕事/バイトのこと) I am giging a lot. 沢山演奏のバイトしてる、みたいなニュアンス。
sub (代わりの演奏者のこと) substituteからきてる
music festival (音楽祭)
summer music festival (夏の音楽祭) 音楽祭はだいたい1月あたりから応募とオーディションが始まるので、この用語を知らないと、情報がもらえずに長い夏休みを何もしないで終わることになるので、大切です。 私の場合、2年目の夏に2か月間、メイン州にある音楽祭に参加したことがきっかけで英語が話せるようになりました。この2か月間は日本人は私しかおらず、アンサンブルがメインの音楽祭だったので、朝から晩までリハーサル、練習、演奏会、の繰り返し。ここで、英語を話さないと私、何も考えていない人になってしまう!と強い危機感を感じて、めちゃくちゃつたない、文法もまちがえまくりの英語を頑張って話していたら、2か月目には考えずに英語が話せるようになっていたので、環境の大切さを実感しました。
一般的な音大の防音タイプの練習室。ガラスドアは防犯の意味もある。練習室は争奪戦なので15分経つと明かりが勝手に消えて中に人がいないことが分かるようになっている。そのため、暗かったら荷物があろうが、楽譜があろうが、楽器があろうが、入って使ってよい暗黙のルールがあるところが多い。
9. 日本人が海外の音大に行く際に知っておいてほしい英語に関する重要な事
私はアメリカのごく一部しか知りませんが、5年間学生生活を送り、その後15年間ボストンで生活をしました。その間、ずっとNEC,BUをはじめ、その他、ボストンにあるBoston Conservatory、Longy School of Musicなどの音楽学校で伴奏者として仕事をしていたので、音楽学校とはずっと関わっており、Officeで働いてる方たちと面識もあって、留学生の移り変わりを目の当たりにしてきました。
私がアメリカに行った1990年代後半は韓国人がアジアからの留学生では一番多く、日本と台湾が同数ぐらい、中国人はそこまでいなかったです。2000年代に入ってアメリカの留学生を受け入れる英語のシステムが変わり、今まではある程度の点数があれば受け入れてESLなどのEnglish classに入ってもらって、現地で勉強して、テストを受けて~という流れから、最初からしっかりとした英語の点数を求められるようになり、その点数が足りない場合は入学はもちろん、ESLにも入ることができない、というように変わって以降、日本からの留学生がガクッと減り、韓国人、台湾人は変わらず、そして最近は中国人の留学生が多くなってきています。
アメリカの留学生をみると、今どこが経済的に強いのかよくわかる、と言われています。たまに日本人だ、と思うと生まれ育ちがアメリカだったり、10歳ぐらいでアメリカに来たなど純粋な日本の音大を卒業した日本人留学生がいなくなってしまい、寂しい限りです。
ただ、やはり語学ができないと、演奏だけ勉強しても、それは本当に留学したことになるのか疑問も残ります。現地でしかできない経験をして、現地の方とコミュニケーションをして、積極的に自分がいる環境に関わっていくということが、留学経験として専門を学ぶ以上に大切になるのではないかと感じます。私が演奏会に来ていた女性に言われた言葉で、今でも心に残っている言葉があります。
その国で生活するのに、そこの言葉ができずにどうやってそこで生活している人に伝えることができるのか。演奏だけではなく、言葉も使ってコミュニケーションすることがいかに大切か、ということを考えさせられたのです。
音楽家は演奏ができないとダメなのはもちろんですが、英語ができれば、少なくとも日本人以外の方とも話すことができて、あなたの人となりも伝わり、あなたの演奏がさらに心に響くものになることでしょう。
いかがでしたでしょうか?
音大留学を検討されている方には、参考になる情報も多かったと思います。
冒頭でもご紹介しましたが、以下、英国への音大留学を目指されている方向けの記事、別の講師によるアメリカでの音楽留学アドバイス記事(カリフォルニア大学)も是非ご参考になさって下さい。
アデュールでは、実際に音大留学を目指して英会話レッスンを受講されている生徒様もいらっしゃいます。
音大留学の為に英会話受講を検討されている方は、是非アデュールの体験レッスンをお試し下さい!
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Your music has a strong impact on me because you speak English fluently. What is the best way to understand each other if we both speak the same language? I am glad that we communicate through music and language.
(あなたの英語はとても素晴らしく、私たちは同じ言葉を話し理解しているので、あなたの演奏はより深く私に届くのです。英語と音楽を通してあなたとコミュニケーションをとれることが、私はとてもうれしいです。)